2034 未来予測―AI(きみ)のいる明日

中島聡さんの『2034 未来予測――AI(きみ)のいる明日』(徳間書店)
中島聡さんは、Windows95の開発に携わり、「右クリック」「ドラッグ&ドロップ」を世界に広めた、伝説と呼ばれるエンジニア。その方が、10年後の2034年という未来を「小説と解説」という形で描いた一冊です。


今まで読んだ未来予測の本は、どこかSFっぽくて「本当にそうなるの?」と少し距離を感じることが多かったのですが、この本は違いました。亡くなったパートナーとAIを通じて会話する、失業率82%の世界でメタバースに逃げ込む若者──そんな具体的なシーンが小説として描かれているから、10年後の世界がリアルに、怖いくらいリアルに想像できる。
読みながら、何度も「これは他人事じゃない」と思いました。

準備していた人と、していなかった人
本書が描く2034年の世界で、中島さんはこんな問いを投げかけます。
「想定して動いていた人(Aさん)」と「準備なしに迎えた人(Bさん)」では、どんな差が生まれるのか、と。
単なる収入の差ではありません。人生の主導権における差です。
4つの視点で整理してみます。

① AIを使いこなすか、仕事を奪われるか
AさんはAIを「自分の脳の拡張」として使い、1人で10人分の成果を出す。余った時間を、人間にしかできない意思決定や新しいビジネスの種まきに投資できる。Bさんは従来通りの「正確さ」「作業量」で勝負しようとするが、どれだけ頑張ってもAIのスピードとコストには勝てない。
② 生きがいを見つけるか、アイデンティティが崩壊するか
失業率82%の世界では「仕事=自分の価値」という方程式が崩壊します。Aさんは労働から解放された後の「自分の楽しみ方」を事前に問い続けてきた人。Bさんは突然「働かなくていい」と言われて虚無感に陥り、政府が用意した依存系メタバースに逃げ込む。
③ 文脈力で信頼を築くか、「自分らしさ」を失うか
AIが正解をささやく時代だからこそ、「ここはAIに頼る場面」「ここは自分の言葉で語る場面」を使い分けられるかどうかが、人間関係の質を決める。24時間AIに依存した言葉からは、その人らしさが消えていく。
④ テクノロジーの主人になるか、データの奴隷になるか
「無料の便利さ」の裏にあるリスクを理解して自分のデータの主権を握るAさんと、生活のすべてをアルゴリズムに委ねて「何を食べ、誰と会うか」まで無意識にAIに最適化されていくBさん。

28歳、妊娠中に読んで気づいたこと
2034年、私は36歳です。
今お腹にいる赤ちゃんは、8歳になっています。その子が大人になるころ、世界はどうなっているんだろう。そう思いながら読んでいたら、途中から涙が出てきました。
この本を読んで、Sowaliaを立ち上げてよかったと、改めて確信しました。
テーマパークで見たあのお父さんの横顔。公園でお弁当を食べていたお母さんと子どもの姿。あの瞬間に感じた「この人たちの毎日を、少し楽にしたい」という気持ち。それは、損得勘定でもなく、誰かに頼まれたわけでもない。ただ、自分の中から湧いてきたものでした。
それこそが、人間の生きがいであり、やりがいだと思っています。
AIはものすごいスピードで進化しています。でも、誰かの表情を見て胸が動く瞬間、「届けたい」と思う衝動、そこから生まれる創意工夫でものをつくり、誰かの笑顔につなげていく──その一連の流れは、人間にしかできないことだと思う。それは効率の話ではなく、生きることそのものの話だから。
Sowaliaというブランドを立ち上げたのは、その「生きがい」を形にしようとしたからだったのだと、この本を読んで言語化できた気がします。

「便利すぎる未来」だからこそ

「勉強や新しい挑戦は、ただ知識を増やすだけならAIに勝てない。でも、その過程で得た視点や信頼は、AIには代替できないその人だけの武器になる。」

人間にしかできないことに全力を注ぐ。そのために大切なのは、自分が何に心を動かされるか、何のために動いているかを、ちゃんと知っていることだと思いました。
Sowaliaのものづくりは、私にとってその問いへの答えです。自分の手で、自分が感じた「あったらいいな」を形にして、誰かの日常をほっと快適にする。その循環の中にこそ、AIには奪えない豊かさがあると信じています。
変化の激しい時代を30代で迎えられることを、今は怖いよりも楽しみだと思えています。
2034年、生まれてくるこの子と、夫と、Sowaliaで出会った方たちと、一緒に最高の景色が見たいです。そのために今日も、一歩一歩進んでいこうと思います。

📚 ご紹介した本
『2034 未来予測――AI(きみ)のいる明日』中島聡 著(徳間書店)

Sowa

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